スマホの裏に大葉を挟んだら、私の個性が3分で傷み始めた
Substack感想劇場)てぃなの|スマホの裏、何入れてる?
「スマホの裏、何入れてる?」を読んで、自己表現をやりすぎた話
🎧「クロ、スマホの裏って、人生が出ると思わない?」
🐈⬛「急に重くしたね」
今回読んだのは、てぃなのさんの
『スマホの裏、何入れてる?』
地方のローカル番組をきっかけに、スマホケースの裏へ何を入れる人がいるのかを紹介した記事だ
証明写真
トレーディングカード
推しのイラストや写真
心に残る名言
消しゴムの袋
そして――
大葉
🎧「待って」
🐈⬛「うん」
🎧「最後だけ冷蔵庫から来てる」
てぃなのさん自身も「そんなものまで!?」と驚きつつ、スマホケースの裏に何かを入れる文化を面白がっている
同時に、学生なら自由でも、営業や接客など仕事でスマホを見せる人はどうなのか、と少し現実的な視点も入る
結論は「職業や職場の雰囲気次第かもしれない」
このゆるさがいい
「絶対こうすべき」ではなく、
みんなはどうしてる?
と読者へボールを投げる記事なのだ
🎧「クロ、決めた」
🐈⬛「何を?」
🎧「私もスマホの裏で自己表現する」
私は透明ケースを外した
まず、AIマンガの主人公カード
次に、Substackの購読者が増えた日のスクリーンショット
さらに、「いつか使う」と保存した謎のレシート
昔の映画チケット
推しキャラのステッカー
そして、学生時代の証明写真
🐈⬛「厚みが財布になってきたね」
🎧「私の人生が詰まってるから」
🐈⬛「それ、スマホじゃなくて卒業アルバムだよ」
まだ足りない
てぃなのさんの記事には「心に残る名言」もあった
私は紙に書いた
明日できることは、今日やらない
🐈⬛「それ、心に残していいの?」
🎧「私の人生哲学です」
さらに私は冷蔵庫を開けた
🐈⬛「まさか」
🎧「記事への最大限のリスペクトです」
大葉を一枚取り出す
🐈⬛「やめようか」
🎧「透明ケース越しに緑が映える」
🐈⬛「時間が経つと、もっと違う色になるよ」
私はスマホの裏へ大葉を挟んだ
完璧だった
三分後までは
スマホケースは小さな展示室なのかもしれない
この記事を読んで面白いと思ったのは、スマホの裏という、ほんの数センチの場所に、その人の好みや思い出がにじむことだった
推しを入れる人
友達の証明写真を入れる人
捨てられない小さなものを残す人
別に高価なものじゃなくていい
むしろ、他人から見れば「なんでそれ?」という物ほど、その人らしい
🎧「クロ、つまりスマホケースは持ち歩ける個展なんだよ」
🐈⬛「大葉展?」
🎧「現代アートです」
🐈⬛「生鮮食品です」
私はさらに企画を拡大した
第1回 わかモン・スマホ裏展覧会
会場、自宅四畳半
展示作品その一
「いいねが3件ついた日のスクショ」
展示作品その二
「誰にも伝わらなかったAIマンガの没キャラ」
展示作品その三
「なぜ取ってあるのか本人にも分からないレシート」
🐈⬛「それ、展示というより片付け途中だよ」
でも、並べてみると妙に愛着が湧いた
何でもない物に、その時の自分が残っている
証明写真なら、昔の自分
チケットなら、その日の記憶
推しのカードなら、好きだった時間
スマホケースの裏は、他人へ見せるためだけじゃなく、
自分が忘れたくないものを、そっと持ち歩く場所
なのかもしれない
ただし、大葉は別です
私はスマホを持ち上げた
透明ケースの中で、大葉が少しだけしんなりしている
🎧「クロ」
🐈⬛「うん」
🎧「私の個性が、傷み始めました」
🐈⬛「冷蔵庫に戻そう」
てぃなのさんの記事がいいのは、こんなふうに読んだ人が、
「自分なら何を入れる?」
とつい考えてしまうところだ
大きなテーマではない
人生を変える話でもない
でも、こういう小さな問いから、
その人の趣味や思い出や生活が見えてくる
そしてコメント欄で、
「私はこれを入れてる」
「こんなのもおすすめ」
と話が広がる
Substackらしい記事だと思う
私は大葉を救出し、代わりに小さな紙を一枚入れた
そこには、
「マンガも記事も、まだ初心者」
と書いた
🐈⬛「それ入れるの?」
🎧「今の私だからね」
🐈⬛「いいんじゃない?」
私はスマホを裏返して眺めた
派手ではない
でも、今の自分にはちょうどいい
🎧「クロは何を入れる?」
🐈⬛「何も入れない」
🎧「ミニマリスト!」
🐈⬛「猫はスマホ持たないからね」
私は静かに大葉を冷蔵庫へ戻した
スマホの裏には、その人の人生が出る
ただし、
野菜だけは野菜室のほうが長持ちする。







